年収1億円を稼ぐ人、500万円に甘んじる人

ということで、次のではいったん過去にさかのぼってみることになる。過去の検証は、もちろん未来に結びつくものでなくてはならない。なぜ、これからは30代でも年収1億円を稼げる人が当たり前のように出てくると断言できるのか。逆になぜ、人によってはずっと年収500万円のままで生きるしかなくなるのか。ともかく話をここにフォーカスして、なるべくわかりやすく分析してみるつもりである。

その際に、冒頭に書いた銀行マンの話に出てくるいくつかのキーワードを手掛かりにすると、話がよりわかりやすくなりそうだ。なぜなら、彼がいま置かれている立場は、ちょうど「これまでの日本社会」と「これからの日本社会」とを結ぶ過渡期と呼ぶのにふさわしいからである。

そのキーワードとは、たとえば彼が50代前半(①)の銀行マン(②)で、若くして支店長(③)になり、続いて本部の部長(④)を二つ経験したエリート(⑤)だったにもかかわらず、ついに本社役員(同じく(④)にはなれなかった。彼は子会社(⑥)の執行役員(⑦)になり、来年はそこの常務(⑧)にはなれそうなのだが、他にまだやってみたいこともあり、思いきって子会社を辞めて転職(⑨)すべきかどうか真剣に悩んでいる等々、これだけでも少なくとも9個はある。

なかでも⑤の転職などは、日本の企業社会の過去と未来をはっきりと色分けするキーワードとして、じつに使い勝手がよいといえる。他人と過去は変えられないというが、過去をしっかり検証することで、自分と未来を変えるための重要なファクターを手にすることができる。このテーマでいけば、過去を知ることで、これからの会社が1億円積んででもほしい人がどういう人かよくわかる。その結果として会社が放り出したい人がどういう人かもみえてくるのだ。

当然ながら、この両者の決定的な違いを知ることによって、あなたがこれからどう生きていけばいいのかが、イヤでもはっきりとわかってくる。次に書いてある分析は、終戦直後の時代をよく知らない若い人たちには、新鮮な驚きを与えるに違いない。それどころか、あの時代を現実に生きてきた人たちにも、おそらくは「そういうことだったのか」と目から鱗の経験を味わっていただけるはずである。

— posted by Chapman at 12:49 am